査読意見あるある
「 バイアスが強く代表性が低いです。考慮してください。」
バイアスがあると、サンプルの代表性が損なわれます。
サンプルサイズと同じくらいリジェクトの高い原因となります。研究デザインは慎重な検討が必要です。
STROBE声明においてバイアス記載を方法と考察に記載することを推奨してます。
方法
- 可能性あるバイアスを記載
考察
- バイアスを考慮した研究の限界を記載
- バイアスの方向と大きさについての記載
バイアスに関する査読コメントに対して、限界に記載するだけでは、科学性が乏しいです。
名郷先生の「臨床研究のABC」によると
- 情報を「真実、バイアス、偶然」の視点で吟味すると述べています。
「国際誌にアクセプトされる医学論文 」によると主なバイアス
選択バイアス
- 選ぶところにバイアスあり
- リジェクトされる致命的な原因
- 選択バイアスの1つ
- 応答者が非応答者と系統的に異なるバイアス
- ある病気患者は、そうでない人と比べ、その病気の質問により積極的に回答する。
- 情報あるところ、測るところにバイアスあり
- つまり、測定バイアス
- 診断バイアス
- 思い出しバイアス
交絡バイアス
- 間に入る因子にバイアスあり
他にもいろいろ…
- 脱落バイアス
- バークソンバイアス
- 有病者/発症者バイアス
- ノイマンバイアス
- サンプリングバイアス
- 判定バイアス
- データ収集バイアス
- 変数のコントロール不備によるバイアス
- 出版バイアス
- 査読者バイアス
- 自己宣伝バイアス
- 時間的関連性バイアス
- 量反応関係バイアス
研究デザインごとに制御可能なバイアスと不可能なバイアスがあります。
選択バイアスについて
観察研究
- 悉皆調査(しっかいちょうさ)
- ランダム化
- 難しい
情報バイアスについて
- マスキング
- 独立した評価
交絡因子について
観察研究
- 未知の交絡因子は制御不可能
- 多変量解析
- マッチング
介入研究
- ランダム化
研究者の心理的なバイアスとして
保有効果
- 損失回避のため、ネガティブデータも良いデータと評価してしまう。
- 損失回避のため、後に引けなくなる。
- 特に、医療は倫理的に重要。
アンカリング効果
- 有名な先行研究のインパクトが印象に残り、自分の結果を冷静に評価できない。
第1の要因が、代表性。
- 代表性とは、典型的と思われるものを、判断の基準、答えとして転用すること。ステレオタイプとも呼ばれる。
- 利用可能性とは、思い浮かびやすさ。
- 連言錯誤は、利用可能性の一例。
第3の要因が固着性。
- 最初に示された特定の数値などに縛られてしまう。
少数の法則
- 施行回数が少ないのに、大数の法則が当てはまると錯誤する。
平均値への回帰
- 長い目で見れば平均値戻る。
後知恵
- 何か事が起きてから、後でその原因に言及すること。心理バイアスの1つ。
注目されているバイアスとして
フレーミング効果
- 問題提示の方法によって、選択結果が異なることがある。
- Science 1981 Jan 30; 211(4481):453-8.
- The framing of decisions and the psychology of choice
- http://www.sciencemag.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=7455683
- N. Engl. J. Med. 1982 May 27; 306(21):1259-62.
- On the elicitation of preferences for alternative therapies
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/7070445/
- J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci 2005 Jul; 60(4):P215-8.
- Framing effects in younger and older adults.
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1751470/pdf/
- Psychol Aging 2011 Jun; 26(2):285-94.
- Decisional strategy determines whether frame influences treatment preferences for medical decisions.
引用資料