さまよう薬剤師のブログ

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Incidence of pneumonitis with use of PD-1 and PD-L1 inhibitors in non-small cell lung cancer: A Systematic Review and Meta-analysis of trials

Journal Club

 

今週のプレゼンターは私です。

 

2017年CHESTに報告された、

非小細胞肺がんに対するPD-1とPD-L1阻害薬における肺臓炎の違いについてのメタアナ。 

 

この論文を選択した理由は、3つです。

1. PD-1とPD-L1阻害薬の副作用対策はどちらも同様で良いのか不明である。

2. PD-1とPD-L1阻害薬の違いについて、検討している報告が少なく、知識を広げたい。

3. メタアナを読む力を伸ばしたい。

 

 

 

Abst

 

背景


PD-1/PD-L1阻害薬は非小細胞肺癌(NSCLC)において有意に臨床的効果があることが知られている。

 

しかし、潜在的に致死的な免疫を介した肺臓炎を起こすことがある。

 

そこで、臨床試験での肺臓炎頻度はばらつきがあるため、頻度を調べ、阻害薬の種類および前治療による差があるかどうか検討した。

方法


Medline, Embase, Scopusデータベースを2016年11月まで検索。

 

全グレードおよびグレード3以上の肺臓炎の頻度を、

ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブの臨床試験(NSCLC患者への単剤使用)から収集した。

 

DerSimonian-Laird法を用いて肺臓炎の頻度を算出した。

 

PD-1とPD-L1阻害薬による肺臓炎の差、また前治療によっても差があるのかどうかも調べた。


結果


19試験(12試験:PD-1阻害薬3232人、7試験:PD-L1阻害薬1806人)が抽出された。

PD-1阻害薬は統計学的に有意にPD-L1阻害薬よりも全グレードの肺炎の頻度が高かった(3.6%, 95%CI 2.4%-4.9% vs 1.3%, 95%CI0.8%-1.9%, p=0.001)。

PD-1阻害薬において、グレード3以上の肺臓炎の頻度も多かった(1.1%, 95%CI 0.6%-1.7% vs 0.4%, 95%CI 0%-0.8%, p=0.02)。
全グレードの肺臓炎の頻度は、治療を受けたことがない患者の方が前治療がある患者よりも高かった(4.3%, 95%CI 2.4%-6.3% vs 2.8%, 95%CI 1.7%- 4%, p=0.03)。

結論


PD-1阻害薬はPD-L1阻害薬と比較して肺臓炎の頻度が高い。

特に、これまで治療を受けたことがない患者ではよくみられる有害事象であった。

 

Introduction

 

Known 

 

非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において、PD-1およびPD-L1阻害剤は、臨床的に顕著な有効性を示している。

NivolumabおよびPembrolizumabは、進行中のNSCLC患者に対して、FDAの承認を得た治療薬である。

Pembrolizumabは、PD-L1発現が> 50%の場合に対して、NSCLCのファーストラインとしてFDAの承認を得ている。

進行したNSCLC患者に対して、複数の臨床試験で評価されているPD-L1阻害薬である、AvelumabとDurvalumabもある。

PD-1/PD-L1に対するモノクローナル抗体は、免疫チェックポイント受容体を阻害し、免疫寛容の正常な機序を破壊して正常組織における免疫活性化を増加させることが考えられている。

これは、T細胞の無秩序な活性化をもたらし、重大な毒性を生じ、これらの薬剤による免疫関連の有害事象の基盤となる。

 

肺臓炎は、抗PD-1 / PD-L1抗体の使用に関連する重要な自己免疫毒性であり、多くの場合において治療の中止となり重大な罹患率および死亡率の増加に関する。

 

以前の研究では、NSCLC患者において肺臓炎の割合が約4%であり、他のタイプの腫瘍を有する患者よりも高いことが実証されている。

 

unknown

 

しかしながら、PD-1阻害剤とPD-L1阻害剤との間の肺臓炎の発生率を比較するSystematic Review and Meta-analysis の報告はなかった。

 

Problem

 

免疫チェックポイント阻害剤で治療した患者における肺臓炎の割合を比較する。

 

Methods

 

Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses (PRISMA

に基づき分析された。

 

データーベース

PubMed-Medline, EMBASE, and Scopus

ASCO and ESMO from 2010 to 2016

 

検索語

PD-1, PD- L1, CD274, programmed death receptor 1, programmed death receptor ligand, immune checkpoint inhibitor, nivolumab, BMS936558, pembrolizumab, MK-3475, MPDL3280A, atezolizumab, avelumab, MSB0010718C, durvalumab, MEDI-4736, pneumonitis.

 

期間

December 4, 2016まで分析した。

 

研究種類

(1) single-arm or randomized trials evaluating PD-1 and PD-L1 inhibitors in NSCLC

(2) data available on rates of pneumonitis assessed by the CTCAE (common terminology criteria for adverse events) Version 4.0

(3) In studies that used PD-1 and PD-L1 inhibitors in combination with other agents only the arms of the study with single agent were eligible.

 

個々の参考論文追跡

不明

 

個々の研究者と連絡

不明

 

出版されていない研究の探索

採用していない

 

同様の研究の排除

明記されていないが、複数のレビュワーによって、著者名や研究タイトルなど確認されており、排除されていると思われる。

 

英語以外

不明

 

網羅的かどうか?

ファンネルプロットなし。

 

複数の評価者によって評価されたか?

評価された。

 

異質性の検討は?

I2統計量あり。

 

Results

 

12 trials with PD-1 inhibitors (Nivolumab=9, Pembrolizumab=3)

7 trials with PD-L1 inhibitors (Atezolizumab=5, Durvalumab=1, Avelumab=1).

 

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A meta-analysis of all 19 trials (n=5038) showed that the incidence of any grade pneumonitis was significantly higher with PD-1 inhibitors than with PD-L1 inhibitors (3.6%, 95%CI 2.4%-4.9% vs 1.3%, 95%CI 0.8%-1.9%, respectively; p=0.001; Figure 3).

 

 

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we found a higher incidence of grade 3 or higher pneumonitis with PD-1 inhibitors in comparison to PD-L1 inhibitors (1.1%, 95%CI 0.6%-1.7% vs 0.4%, 95%CI 0%-0.8%, p=0.02; Figure 4).

  

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we found a significantly higher rate of pneumonitis in treatment naïve patients than in previously treated patients (4.3%, 95% CI 2.4%-6.3% vs 2.8%, 95%CI 1.7%- 4%, p=0.03; Figure 5)

 

 

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 There were no significant differences in the incidences of grade 3 and higher pneumonitis in treatment naïve and previously treated patients (0.5%, 95%CI 0%-1.1% vs 1%, 95%CI 0.5%-1.5%, p=0.1; Figure 6).

 

 感想・皆さんからの意見

 

治療を受けたことが無い患者において、肺臓炎が多く見られた結果を注視する必要がある。

 

PD-1とPD-L1との肺臓炎の差はありそうだが、比較の前提には、そもそも効果が同等であることが示される必要がある。

 

現時点において、肺臓炎による死亡はPD-1のみの報告であることも興味深い。

 

放射線照射歴や喫煙歴などのリスク因子の検討が望まれる。

 

ハイリスクバイアスの解釈が難しい。

 

 

ちなみに...JCOから以下の報告もある。

 

 抗PD-1/PD-L1モノクローナル抗体を使用した患者915人のうち、肺臓炎は43人に発生した(5%、95%信頼区間3%-6%、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターで578人中27人、5%、オーストラリア悪性黒色腫研究所で337人中16人、5%)。

肺臓炎の発症までの期間は9日から19.2か月までだった。

発症率は悪性黒色腫の患者と非小細胞肺癌の患者で類似していた(全体で悪性黒色腫では532人中26人、5%、 非小細胞肺癌では209人中9人、4%)。症例の72%(43人中31人)はグレード1から2であり、86%(43人中37人)は休薬または免疫抑制薬によって改善または寛解した。5人の患者は臨床的に悪化し、肺臓炎の治療中に死亡した。死亡の直接の原因は肺臓炎(1人)、免疫抑制薬に関連する感染症(3人)、がんの進行(1人)だった。

www.ncbi.nlm.nih.gov