さまよう薬剤師のブログ

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Journal Club : A phase II randomized double-blind placebo-controlled study of 6-gingerol as an anti-emetic in solid tumor patients receiving moderately to highly emetogenic chemotherapy.

Journal Club : A phase II randomized double-blind placebo-controlled study of 6-gingerol as an anti-emetic in solid tumor patients receiving moderately to highly emetogenic chemotherapy.

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

今週のプレゼンターは、私です。 

 

 固形がん治療のMECやHECに対する、標準的な制吐薬の上乗せ効果として、生姜に含まれる6-gingerolとプラセボを比較したPhases Ⅱ, RCT。 

 

この論文を選択した理由は、エキスパートオピニオンの1つとして、固形がん治療の難治性吐き気に対して "生姜"を患者さんに推奨する事がトピックであるためです。

 

もちろん、標準的制吐薬を中止して、生姜のみという選択肢は、ありえないのですが、

標準的制吐薬に加えて、生姜好きな患者さんの食事オプションとしては興味深いです。

 

 

 

P : Patients who received moderately to highly eme- togenic adjuvant chemotherapy

E : 6-gingerol 10 mg  twice daily for 12 weeks.

C : placebo orally twice daily for 12 weeks.

O : Overall CR rate was significantly higher in 6-gin- gerol group as compared with that of the placebo (77 vs. 32%; P<0.001).

T : multicenter randomized, double-blind,placebo-controlled phase II study

 

 

 

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 Introduction

 

Known

 

標準的な鎮吐薬にもかかわらず、約10〜30%の患者がCINVを経験し、急性合併症を増加させ、化学療法の有効性を低下し、生存期間を低下させることが知られている。

ASCOは、HACに対して、5HT3, デキサメタゾン, NK1を推奨している。

生姜は、膨満感、吐き気、歯肉炎、去痰、食欲改善に用いられている。

生姜の成分は、6-gingerol, 8-gingerol, 10-gingerolを含んでいるが、6-gingerolが最も効果が期待できる。

これまでの生姜に関する大規模な第III相試験では、がん化学療法の初日の3日前から6日間、生姜とプラセボを576人の患者をRCTした。この試験の主要評価項目は、化学療法の1日目のCINVのスケールであった。 標準的な5-HT3受容体アンタゴニストおよびデキサメタゾンを投与された患者に生姜を補給することは、プラセボと比較した場合、急性CINVのスケールを有意に低下させた。

 

unknown

 

しかし、遅発性嘔吐における生姜の利益は観察されなかった。 いくつかの臨床研究においてはCINV予防に生姜を支持しているが、7つの臨床研究の全身レビューは生姜の明確な利益を示す事ができなかった。

われわれの知る限りでは、臨床研究の大部分は様々な用量の生姜サプリメントを使用していた。

 

Problem

 

6-gingerolは、制吐、抗酸化および抗炎症効果を有する生姜由来の潜在的な活性化合物である。

したがって、中等度から高度催吐性アジュバント化学療法を受けた固形腫瘍患者のCINV予防において、6-gingerolの無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験を実施した。

 

Methods

 

multicenter randomized, double-blind,placebo-controlled phase II study

6-gingerol vs placebo.  RCT 1:1.

 

18歳以上の固形がん、PSは2以下。

高度催吐性アジュバンドを少なくとも3サイクル計画した患者

 

NK1アンタゴニストを用いる患者は除外。

ジンジャー過敏症、妊娠または授乳、過去の化学療法歴を有する患者は除外。

ワルファリン、オランザピン、およびすべての食欲刺激薬は研究中に認めなかった。

 

適格患者は無作為化の4つの方法のブロックを連続的に使用して、1日2回、6-gingerol 10mgまたはプラセボを無作為に割り付けた。

 

治療は、化学療法投与の第1日から第3日まで行った。評価は、計画した化学療法の治療完了まで12週間継続した。

 

高度に催吐性の化学療法(HEC)レジメンでは、患者はオンダンセトロン8mg

1日目にIV、デキサメタゾン12mgを1日目に経口投与し毎日2-4日に投与した。

 

中等度の催吐性化学療法(MEC)レジメンでは、患者はオンダンセトロン1日目に8mgのIVおよび1日目に8mgのデキサメタゾン2-4日目に毎日経口投与した。

 

すべての患者は、第2-4日にメトクロプラミド10mgを毎日3回経口投与した。

 

レスキューは、患者の要求または医師の裁量に応じて、吐き気や嘔吐に対していつでも認められた。

 

完全寛解(CR)は、急性期および遅延期の両方に必要な嘔吐イベントまたはレスキューがない場合と定義した。

 

急性期嘔吐は、化学療法の投与後24時間以内に発生した嘔吐事象として定義した。

遅延期嘔吐は、化学療法投与後24〜120時間に発生した嘔吐事象として定義した。

 

悪心および食欲の強さは毎日測定した。

Numerical Rating Scale (NRS) は0〜10。

0点 : 悪心なし。1-3 : 軽度、4-6 : 中等度、7以上 : 重度

 

QOLはFACT-Gを用いた。各項目あたり0-4点。

 

Results

 

Fig1 Consort diagram

6-gingerol 群 40 vs プラセボ 41 群

 

Tab1 Baseline patient characteristics

90%は女性が対象であった。

アントラサイクリンやプラチナに差がない。

HECに差がない。

 

Fig2 

Percentages of patients with complete response (CR), defined as no emesis and no rescue therapy in overall treatment (a), and cycle 1 (b)

 

主評価であるCRは、有意な差をもって6-gingerol群がプラセボ群より良かった。

しかし、第1サイクルは、有意差はなかった。

 

Fig3

食欲スケールは有意な差をもって、6-gingerol群がよかった。

 

Fig4

Total(a)、物理的幸福(b)、感情的な幸福(d)、機能的な幸福(e)は、6-gingerol群がよかった。

社会的または家族的福利(c)は、有意差なし。

 

Tab2

副作用に関しては、疲労のみ6-gingerol群と比べてプラセボ群が高かった。

 

 

Discussion

 

この第II相試験は、中等度から高度催吐化学療法を受けた固形腫瘍患者において、オンダンセトロン、メトクロプラミド、デキサメタゾンに加えて、6-gingerolの抗制吐活性を実証した。

 

化学療法の第1サイクル中の急性期CRは、両群間で統計的に有意ではなかった。

しかし、6-gingerolは、遅延期および化学療法の次サイクルにおいて、より顕著であった。

 

NK1受容体アンタゴニストに6-gingerolを加えた検討を慎重に評価する必要がある。

 

生姜から抽出された活性化合物である6-gingerolの開発は、CINV予防のための将来の代替可能な選択肢となりうる。

 

オンダンセトロン、メトクロプラミド、およびデキサメタゾンに加えて、6-gingerolは急性期および遅延期CINVの両方でCR率を有意に低下させた。

これらの結果を確認するために、6-gingerolの第Ⅲ相無作為化試験が必要である。

今後の課題として、6-gingerolの薬物動態学および化学療法による疲労および幸福の改善の改善が検討されるべきである。

 

みなさんの感想

 

女性が多い試験であったため、男性における効果が気になる。

 

タイで実施された研究であり、日常的に生姜を多く摂取している印象があり、プラセボの比較性が薄くなっているのでは? 

 

参加した先生の中には、難治性の吐き気に対して、すでにジンジャーエールを患者さんに推奨しているとのコメントがあった。